アニ研連53回上映会

誰もが知っているネタをそのまま作品に挿入しただけで爆笑してしまう観客*1に抗するかのごとく
長坂秀佳氏やら忍者赤影やら猫目小僧(テレビの方)やらのネタを
大多数の人がついていけないこと前提でペダンティックにひけらかした無敵動画堂さんの作品は
「どうせお前らヌルオタには分かんねーだろHAHAHA!」という声が聞こえてくるようで素晴らしかった。
第一世代の教育がまだ有効であった時代に努力をしてオタクになろうとしていたおれは
「よく頑張った感動した、やっぱり知識の多いオタの方が偉いんだぜエッヘン!」と快哉を叫び
鼻歌交じりに家へ帰って布団でぐっすり眠ろうとしたのだけれど
らき☆すたのパロディをしたのが、しりとり作品を除けば
他の上映作を意識しておそらく意図的に入れたであろう、この作品だけだったので少し気がかりだった。


とここで過去の上映会についての話。
06年夏の第51回上映会はハルヒEDのパロディだらけで
あの「チャッチャラッチャー」というBGMさえ流れれば、作品の巧拙に関わらず爆笑がさらえる状況になっていて
おれは半ば呆れつつも(そう、キョンのように!)
涼宮ハルヒの憂鬱』という作品は随分愛されているんだなーと、こころがやさしい気持ちになったものだ。
だが次の06年冬第52回上映会では一転、ハルヒパロが流れると
「おいおい、今さらハルヒかよ…」という空気が会場を包み失笑を買うという掌返しで
これにはハルヒという作品に思い入れが無いどころか、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い状態だったおれですら

な、なんだよ、君たちが好きだった前回の上映会であんなに脊髄反射で笑っていたハルヒという作品は
たった半年で時代遅れの恥ずかしいものになってしまうのかよ! そんなっ! もう一度あのダンス踊ろうよ!

と思わず擁護したくなるほどだった。
その代わりに場内の爆笑をさらっていたのは『スプー』だったり『GUN道』だったりして、
ああ、前回の上映会で笑っていた人たちは『ハルヒ』という現象が好きだったのね、ぼく分かっちゃったのねーと言っていれば
「盛り上がりたいだけのお前等と違って、おれは作品そのものをきちんと評価する正しいアニメオタクなんだ!」的な優越感を抱くことができたわけ。*2


アニメのそういう自ら賞味期限を早めてしまうような消費の仕方に疑問というか一種の寂しさを感じていたので
昔気質の消費をあえて見せてくれた無敵動画堂さんには感動したし
他にも去年のハルヒのように、今年もらき☆すたのパロディだらけになるだろうと予想して
らき☆すたのパロばっかやってるんじゃねえよ」と煽る作品もあったのだけど
前日の試写会でほとんど無いことが分かって上映を取りやめたらしい。
んなわけで今回の上映会でらき☆すたのパロディをしたのが
そういったパロディに対して意識的な人たちだけだったというのは
なんだか逆説的というか、カウンターを食らった感じがして個人的に面白かった。


去年あまりにもハルヒのパロディが多すぎたのもあるだろうけど
ニコニコ動画の誕生で、これから上映会で流されるアマチュア作品が変化していくのかなー。
今回はネットの流行りモノをそのまま持ってきましたーみたいな作品がほとんどなく、上手いなぁと感じるパロディも多くて*3
この傾向が続いていけばおれとしては幸せだなぁと思った。


トラックバックもらったので追記 07/07/07
http://d.hatena.ne.jp/kanose/20070705/anikenren

パロディが多いのは、YouTubeニコニコ動画のせいでないと思われる。

ニコニコ動画のおかげでむしろ、流行に乗っただけの安易なパロディ作品が減っていくのかなーと感じたんですよ。
それまでと違ってニコニコが先にネタを消費しつくしてしまうんで。
ネタ視聴→制作→上映会という手順を踏むと、もうネタが腐ってしまうほどスピードが速くなってしまったのかなぁと。

*1:あんまいい例が浮かばないんけど『Time waits for no one. ←(゚д゚)ハァ?』で必要以上に受ける人かな

*2:これって「Forza2痛車ばかりでゲームそのものについては取り上げられないことに対する憤り」に近いのかどうかしらん

*3:今まで見た中で一番印象に残ったパロ作品が、20分で作画枚数36枚の『ふしぎ遊戯王』なんだけどこれも無敵動画堂さんのか、それに01年作品だ。前回のハヤテにしかり時代を読む嗅覚が凄いなぁ。アマチュアアニメ界の村上龍だ。