ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島

久々にオマツリ男爵みたら面白かった。
TVアニメの劇場作品は、劇中でどんなことをしたとしてもTVアニメの視線を取り戻さなければならない、観客を視聴者に戻さなければならない。ということをうる星2から教わったオタからすると、この作品は結構危ういことしてたんだなーと思ったのでメモ。

ルフィの視線

映画のラスト、気絶していたルフィが目覚めるところから。

左:ガバッと起きるルフィ 右:それを見つめるオッサン達。
デイジー(幼女)の左側が空いてるのは、ルフィが「俺の仲間は?」と尋ねると画面手前に向かって走り出すため。

ルフィの頭を越え向こう側へ走っていったデイジーを寝たまま仰ぐようにして目を向ける。

左:このカットは首の動きと呼応し空から地面へのパンではじまっていて転地も逆なのでルフィの主観だと分かる。
右:同カット内で反転して、正常な位置からいつもの仲間を見つめる視線を取り戻したルフィ。
おーよかったよかった。これですべてが元通りだ。来週からもTVのワンピースを楽しめるぞーと思ったら、朝日を挟んで次のカット。

実際には仰向けのまんまのルフィ。一番上のカットと同ポジ。
そこではじめて、デイジーを追いかけた視線はルフィの主観ではなく客観ショットだったと気付かされる。*1
そしてルフィは目を閉じ正面から仲間を見ることなく映画は終わる。
観客に対しては正しい視線を取り戻したように見せておきながら、ルフィが元の視線を回復していないことを示すカットを挟んでしまったところが、細田守氏の黒い部分が図らずも露呈したこの作品の象徴っぽくてよいなーと思った。

*1:まぁ実際にルフィの主観だったら反転したところで横にヅレたりするだろうけど