東京暗黒街・オタの家
新宿駅のホームで電車を待ってたら突然オシリを触られてしまった。この私が痴漢に遭うなんて、おかーさーん! と一瞬おびえたが、挨拶代わりにオシリを触ってくる友人を何人か知っているのでその誰かだろう。と振り返るも相手は全く見に覚えのない太めの男。それもオタ太りではなく筋肉質タイプ。こんなヤツ知らん、それに怖い。そのまま互いに見つめ合うおれと痴漢男。記憶忘れかな、高校の同級生だろうか。そう思い巡らせる間も視線を交えたままの二人。やばい、このまま見つめ続けたら続けたらケンカかキスの二択。相手が殴りかかってくるor恥じらいながら目を閉じる前に恐る恐る話しかけてみた。
おれ「知り合い?」
相手「・・・」
おれ「知り合いだっけ?」
相手「持ってるよね」
おれ(持ってるって何だ?)
相手「持ってるでしょ」
おれ「いや分からないんだけど、名前は?」
相手「・・・田中」
おれ「思い出せないなぁ」
相手(一歩下がりおれの全身を値踏みするように見回す)
おれ(なんだ、全身ユニクロがそんなに悪いのか、それともESSEのバックか)
相手(そのまま離れ、階段を下りていく)
男が消えてすぐ電車が来たので乗り込む。相手は乗ってないようで一安心。しかしなんだったんだろう。知り合いじゃないだろうしなぁ。と推理開始。おれの服装を気にしてたってことはなんかの目印があったのかな。テレクラの待ち合わせで「右手にソフトクリーム持ってるから」みたいなの。そういや「持ってるよね」というセリフ。おれが何を持ってるって言うんだ。それに相手は結構太ってたな。まるでプロレスラーのようだった。うーん、そうか分かった! おれをヤクの受け渡し人と勘違いしていたんだ。「デブ=角界=大麻」の法則だ。間違いない。こんなところにも犯罪の芽が育っているなんて、さすがコンクリートジャングル東京。恐ろしい所だ。と都会の恐怖に怯えながら渋谷を歩いていると突然腕を捕まれた。またか、と振り向けば今度は女。そして「オニーサン、イッカイイチマンエン」の媚声。なんてことだ、違ったタイプの犯罪の芽が! 法を遵守する善良な市民たるおれは女を振り払い家路に着き二の腕に当たった胸の感触を思い出しながらオナニーして寝た。