『サマーウォーズ』観たぜ

あーコンテ読んだ時点で気付くべきなんだろうけどこの作品って水がテーマなんだなー。汗をかきながら動き回り、ツバを飛ばしながら喋り捲り、所構わず涙を流すキャラクターたちを観てようやく気付いたわ。『サマーウォーズ』は大家族が体中の水分を搾り出しながら戦う映画で、観客はそのビショ濡れ具合に心動かされてしまうのか。
主人公の過ごす陣内家の屋敷はコップやらペットボトルやらが所々に置かれ、サポート要因のいる物理部室も飲み物で溢れている。そしてキャラクターはことあるごとに何かを飲んでいる。なぜなら陣内家にとって水は生命線だから。一家の男たちが漁師･消防士･水道局員と水と関係する職に就いてるのもその証拠。彼らは水に飯を食わせてもらい水を武器に戦う。だからラブマシーンを城に閉じ込めた時には水攻めを浴びせるし、ヒロインのアバターはクジラの潮に包まれて変身する。川中島の合戦*1を戦った陣内家にとって水は特別な存在なのだ。
一方、敵のラブマシーンは水とは無縁。主人公のアバターは殴られると鼻血を出しながら吹っ飛ぶのに対しラブマシーンは汗もかかず不気味に笑うだけ。それは陣内家の爪弾き者である侘助も一緒で彼は家族と同時に水からも疎外された存在なのだ。コミュニケーションの手段を持たないラブマシーンが他のアバターを吸収することしか出来なかったように、侘助は水を飲むことしか出来ない。だから10年ぶりに家へ帰った侘助は手始めにビールを飲みだす。陣内家にとって特別な意味を持つ水を取り込むことで復縁を迫るのだ。しかし二度目のビールは家族の手でこぼされてしまい、祖母の振るう薙刀の刃を手掴みしても「血が流れず」水を持たないことを暴露された彼は家から去ってしまう。そんな侘助が水を得るのは涙で顔を濡らしたヒロインから祖母の死を知らされた時、その顔に一筋の汗を浮かべた瞬間だ。侘助は水を飲むのではなく、水を流すことで陣内家の一員として正式に迎え入れられる。そして他のアバターを取り込み続けるラブマシーンの破壊を決意するのだ。そう考えると主人公が陣内家に認められ婚約を果たすのも世界を救ったからではなく鼻血を出したからに違いないのだ。鼻血婚だ。
あと『サマーウォーズ』は夏が舞台なのに太陽が描かれず、代わりに雲が姿を見せるのも陣内家にとって水がかけがえのないものだからだろーなー。だから水がなくなると危機に陥っちゃう。スパコンを冷やす氷がなくなった途端ラブマシーンはパワーアップするし。そんで気になったのがスパコンが「熱」暴走を起こし現実世界の陣内家を襲ったこととラブマシーンの後光が画面に映ることのなかった「太陽」のようにみえることで、もしかしたら陣内家とラブマシーンの戦いは水と火の戦争なんじゃねーかなー。そう考えると勝敗が決すると同時に温泉が噴き出すっていうのは結構鮮やかだなーと思ったのよ。残りも適当に。

• ちょっとコンテ読み直してみたが、婆さんに薙刀突きつけられた時に汗が描写されてるなー。死亡の電話受け取るまで汗の描写がない方が上手く繋がるんだけど。実際はどうなってたかな、覚えてないなー。あとラブマシーンのアバターは殴られても血が出ないのは覚えてるんだが、汗はどうだっけかなー。他も色々見間違えしてそうだがそういうのも含めて楽しまないと。せっかく家じゃ見られんしキャプ画像も使えんのだからねー。

• もちろん初対面の人に向かって「二世はどうなの？　やっちゃったの？」と聞いても全然OKなのは「体液」の話をしてるからで、やはり陣内家は水に司られた一家だと言わざるをえないね。普通そんなこと言ったら二度と集まりには呼ばれないよ！

• 侘助はモロッコで性転換してきたパターンもありえるよね。ヒロイン「オジさん！」侘助「オジさんじゃない。侘ネェとお呼び！」みたいなの。

• アナウンサーはいらないな。映画館でテレビアナウンサーの声を聞きたくない。徳光ならOK。

• やっぱヒロインが魅力的じゃないよなー。登場と同時に「ガクッ！」とか言われるとコッチが「ガクッ！」だよ。どうにかして彼女を魅力的にしてあげないと。「数学オリンピックの日本代表も恋の方程式は解けないね♥」とかウゲー気持ちワリー。うーん陣内家って基本的にみんな汗っかきだよね。ってことは彼女のセックスは結構エロそうだなー。下のほうも汗っかきに違いないだろうし。おお魅力的になってきたぞ。
  • 友人が『時かけ』の主人公の声と似てると言っててあーそうだなーと思ったら、世界の平和よりも息子の野球の試合を気にかけてるお母さんがその仲里依紗氏の担当なのかー。へー。あのオバさんが一番好きだわー。

• 敵になったアバターがいっぱい集まる3Dのシーンって生理的に訴える感じだな。『オマツリ』の花の顔が虫食いっぽくなる所みたいに。それはいいんだけど花札で仲間になったアバターが集まる3Dも結構気持ち悪いんだよなー。つまり正義対悪じゃなくて気持ち悪いモン同士の対決なのかなー。OZのデザインもなんか可愛くないもんなー。
  • と思ったら上映終了後、女の子たちが「可愛かったねー」と言ってて「ああカズマか」と思ったら「アバター」だった。どうも聞いてみるとあのアバターは女子から評判のようだ。特にリス。

• 蚊帳がすごく良かった。テレビ画面とかモニターみたいに解像度落としてるような処理で。あの中ってOZ空間と同じような意味持つのかなーとか思ったがあんま見出せなかったな。

• 婆さん死ぬと家が壊されかけるのはちょっと怖いね。あの婆さん細木和子に似てるような。いやだって流石に国土交通省の役人のほうが的確な指示だせるでしょ。アレか。精神的指導者か。オマル師か。あと歯が抜けてて驚いた。あと婆さんの長男って既に他界してるのかな。公務員が多いとかそこら辺ツッコまれないのは良いね。

• 上田駅に着く時、左から右にカメラ動いてたけど逆じゃねーかなー。その後、屋敷に着くまで右から左に動くのでさらに違和感覚えたんだが。東京から長野って普通は右から左だと思うんだがなんかあんのかな。
  • あと侘助がはじめて帰ってくるところって顔を見せる場面を延長させるために、主観と客観入り混じっててよく分からなくなってたような。おれたちには顔見せてないけど主人公からは見えてる位置かなーと思ったら主人公も見えてないぽかったりでってこの文も分かりにくいな。

• 主人公に90歳だと間違えられるオバちゃん本編だと杉村春子に似てねーなー。コンテだと似てる。290Pとか特に。

*1:8/8追記･あー違うわ。上田合戦か。地図に川が描いてあったんで川中島かなーと思ってたわ。