おもひでぽろぽろ

宮崎氏へのアンチテーゼなんだろうけど、物語に対する現実の優位性がこれでもかと描写されていて
「なんでアニメでやるのか分からない」以前に「なんで作品を創るのか分からない」ほど。
一人残されたタエ子の横を、今まで散々物語の邪魔をしてきた挿入曲がテロップとして流れて
文字通り画面を侵食しタエ子を消しさってしまうラストカットは怖すぎる。
ファーストカットが奇しくも「鏡に映りこんだ山一證券のビル」なので
その現実すら崩れ去り、押井氏の要素が入り込んでしまったのは
残酷なまでにキャラを突き放し客観視を徹底させたがために
高畑氏は予知能力を手に入れ神の領域へ足を踏み出したからではないかと思った。
性格の悪さがフィルムから滲み出てきて面白い。宮崎氏とは違った方向から少女を痛めつけているし。