『サマーウォーズ』読んだ

細田作品は『オマツリ男爵』が一番だよねー」と言ってオタから桃を投げつけられるタイプの人間なので前作『時をかける少女』の雰囲気漂う『サマーウォーズ』はちょっとキツイかなーと感じてたが読んだら面白かった。「コネ」や「ツテ」を否定してないところがよかったなー。
16代続く家を守り続けた婆ちゃんの家族が公務員ばっかりなのがリアル過ぎて笑ってしまった。おれのジイちゃんも15代目なんだけど同じように親戚が公務員だらけなんだよねー。あの婆ちゃんが何であんなに手紙を、それも偉い人のばかり残してるのかといえば、やっぱそういうことなんだろーなー。明らかに警官向いてない奴がお巡りさんになってるしね。そんで婆ちゃんや親戚はその「コネ」や「ツテ」を駆使して世界を救うわけで。利用できる「コネ」や「ツテ」は利用しまくれ。という精神が垣間見れて心地良いんだよなー。そもそも主人公がバイトをしたのも部活の先輩の「ツテ」だし。
ん? 先輩の「ツテ」でバイト? とココで細田守監督の経歴を知り尽くしたオタならもうお気づきだろう。というのも細田監督自身が「ツテ」で東映動画に入社し職を得ているのだ。この類似はなんだと思い返してみると主人公には「数学オリンピックの日本代表(になりそこねた)」なんて凡人の我々には全く感情移入できない設定が。しかしこの(なりそこねた)で細田オタの皆さんはピンと来たに違いない。実は細田監督も「『少年ケニヤ』のアニメーター公募で最終候補に残った(がプロにならなかった)」のだ。中間テストのせいでアニメーターデビューを逃してしまった細田監督には「なりそこねた」という気持ちがあったのかもしれない。さらに監督は主人公と同じ物理部出身。もはやこれは主人公=細田守と考えて間違いなさそうだ。つまり『サマーウォーズ』は「おれのように自らの手でコネとツテを掴み名声と女をゲットしろよ」という細田監督からオタへのメッセージだったのだ。ひえーなんてこった。
ということで早く映画館へ行かないトナー。今週行けるかなー。あとは読んでて気になったところ。

  • 警官の又従兄弟は声が田中一成氏で再生される。
  • 警官に捕まって車の窓からヒロインを見つめるとこって大林作品っぽくなってんのかな。
  • OZの時だけトラックアップやトラックバックの前に「ドリー」って指定されてるけどなんか違いあるのか。
  • 時代がもう少し古ければ侘助学生運動家で共産圏から10年ぶりに帰国みたいな感じかな。
  • 16代続いてて室町時代から墓があるってさかのぼりすぎじゃねー。25歳で生んだ子が引き継いだとして2010-90-(25*15)=1545 だから室町か。いやでもあの時代10代前半でバンバン生んでたような。よく分からん。
  • 主人公が婆さんとの花札勝負に勝ってヒロインを獲得するんじゃなくて、負けて押し付けられてしまう。あのヒロインは賞品じゃなくて罰ゲーム的存在ってことか。だってアイツ嫌だよ。人前で泣くところとかすごく嫌だわー。「あーコイツこれまでの人生泣けば何でも願いが叶ってたんだろうなーフロイト的に考えて」って思っちゃうもん。そんでクーリングオフを防ぐために押し付けたら即死亡。ババアの磐石の構え。さすが武田軍の末裔。
  • 婆ちゃんの遺体が何度も描かれてるのがコワイナー。死してもなおその影響力を保ってる感じで。
  • OZって名称はいいのか。日本家屋で家族モノだからってOZはどうなのよ。あーでも万理子が杉村春子に似てたからいいや。
  • 酒飲みながら「セックスしたんだろ」みたいなことを聞くと嫌われるので止めた方がいい(経験談)
  • あーあとDパートで法事の準備やら連絡やらをしていた女たちが、世界の危機に直面した男たちに取り込まれてシリアスな雰囲気に包まれちゃうのにはガッカリしたなー。だって世界を救うことなんかより料理作ったり葬式の準備する方が大事だって。死んだ婆ちゃんが腐らないように氷を持ち出して殴られる警官は何一つ間違ったことしてないよ。世界を救おうとしてる方がオカしい。