わくわくバイトの飲み会

普段は声もかからないのに、なぜかバイトの飲み会に誘われたので行ったら、
見たことのない人が大声でアニメがどうしたゲームがどうした叫び、まわりの人達は苦笑いという光景が繰り広げられていて
嫌な予感しかしないので帰ろうかと思ったところ
「新人なんだよ、会うの初めてだよな」と社員さんの紹介を受けてしまった。
話を聞いたところ、ゲーム専門学校を卒業して現フリーター。
プログラマーなのかなーと思ったら文芸の人で、エロゲー会社の脚本担当になるため採用試験を受けたこともあるらしい。
脚本の試験ってどんなんですか、と聞いたらその会社のアリもののキャラを使ってお話を一つ書いてくるとのこと。
えーそれ、まんま二次創作じゃん、採用試験ってそんなんでよいのかー。
そんだったら、おれのマイメロのお話スタジオコメットに送りつければ、おれも作家先生だやったー。
結局、試験には落ちたらしいんだが自分には合わなかっただけということを力説していたので
あーコイツ典型的なクリエイターとしてのプライドだけが肥大化しちゃったタイプのオタなんだな。
とそこで気付いてしまったんだが、ちょっとまて、おれと目の前の人物と何処が違うって言うんだ。まったく変わらないんじゃ。
いや、おれは違う。大丈夫落ち着け、深呼吸だ。まだおれは学生だし、第一おれは空気が読める。
おれはコイツみたいに一般人がいる中「メロンブックスで同人誌を買った際の小噺」を繰り広げたり
五分に一度は「これはひどい」とネットの流行語を叫んだりはしない。
てーか「これはひどい」なんて現実で口にする奴ってホントにいるのかよ。
少し焦げたピザを指差して「これはひどい」と一人ハイテンションなお前の方が「これはひどい」だよ。
早速ブックマークだ! とB!の乳首マークを探したが、おれSBMやってないしここは現実だった。
やっとこさ正気に戻ったらいつの間にか飲み会会場が
おれとソイツ、それ以外のグループと二つに分割されていて、
あちら側では社員さんが女の子と楽しそう喋ってた。なるほど、おれが飲み会に呼ばれたのもこれが理由か。
なんでおれが残飯処理をしなけりゃならないんだ、おれも女の子と喋りたい! 席を移ってやると思ったけど
あっちのグループとの間には見えないけど確固として存在する、崩れることのないジェリコの壁が
ってこんな表現しか思いつかない時点でぼくはあちら側には行けないので、その人の話を聞き続けることにした。
話してみると意外といい人だった。