しあわせ強制収容所

昨日見た『フレッシュプリキュア!』は主人公ラブが実はプリキュアだった敵キャラせつなを改心させ仲間として受け入れるお話だったんだけど、そのやり口がちょっと怖いんだよなー。他の人の感想のぞいたら「良い回だった」的な発言が多くてビックリしたが、いやこれホラーだって。

  • 一緒に飯を食べる
  • 同居する
  • 相手を洗礼名でしか呼ばない

は典型的な手口だってばよ。おれも勧誘された時に施設でマズイ飯食わされたし。誘ってくれた友人は八畳一間の一人暮らしから四畳半で三人の同士と共同生活送るようになってたし。「ハッピーバースデー今日が貴方の本当の誕生日よ」と祝福し、単調なメロディで同じようなフレーズを繰り返す音楽流したらもう完璧だよ。
いやーなんか、せつながそれまで住んでた管理国家ラビリンスの描写よりも主人公の住んでるクローバータウンストリートって街の方が嫌なんだよなー。作中では理想的な世界みたいな表現されてる分だけ怖さも倍増してる。だって「困ってる友達がいるから私の家に住ませて」ってお願いを即OKする親ってやだよ。あのお母さん娘から「実はプリキュアなの」と告白されても「頑張るのよ」と応援しそうですごくやだ。
結局せつなは洗脳が解けたんじゃなくて再洗脳されたようにしか見えないというか、まぁ全てのことって洗脳なんだろうけど、そういう諦観が無さそうでちょっと怖いんだよなー。例えると徹底したベジタリアンのため栄養失調に陥ったせつなが主人公に救われたが、彼女は肉しか食べない過激肉食集団のメンバーだった! ってな感じ。本編で食わせる料理もステーキとかハンバーグとか肉じゃがとかそんなんばっかだし。「ダメよせつな。日本の食卓は一汁三菜が基本よ!」と誰か教えてあげればいいのにー。
んなこと考えてたら久々にプリキュア博士のTさんから電話が来たので話をしたら大体同じような感じだった。言われて気付いたのは「せつなの目にハイライトが入るのは幸せそうな街を見た時じゃなくて元同僚の敵キャラにそれを否定されてから」でやっぱそれっぽいよね。おれも親に「いい年してアニメなんて見るんじゃないの!」って怒られれば怒られるほど見まくってのめりこむし。そもそも「幸せゲットだよ」を難しい漢字に書き換えると凄く怒られそう。


そんでTさん曰く『フレッシュプリキュア!』はラブが他人に無条件に優しかったり、せつなが「ラブを羨ましかった」と言ったのに、その理由が全く描写されてないので意味不明だからダメらしい。しかし前シリーズの『Yes! プリキュア5』にはそれがあったと。
プリキュア5』の主人公・夢原のぞみことキュアドリームはその名の通り「夢は大事」やら「夢を諦めない」やらことあるごとに「夢」を連呼しまくるうつけ者。視聴者はそれを「まぁ典型的なアホ主人公だから」とお約束として処理していた。だがしかし、とある回で夢原が「あたしは子供の頃からアホだった」と告白するからさあ大変。その回想で使われるのが下の画像。

一目見ただけで夢原のアホさがシャレにならないレベルだと分かるこの画像。ショボイ絵がその深刻さを加速させる。小学校それも低学年の時点で己のデキの悪さを認識しなければならなかった夢原。誰もが天然だと思っていた彼女は挫折を経てああなるしかなかったのだ。「夢」という言葉にすがらないと彼女にとってはハード過ぎる現実を生き抜けなかった。そして夢原は自分自身が「夢」に支えられている危うい存在だからこそキュアドリームなのだ。と明かされてしまうこの画像を目撃しているからこそ、彼女が時折発するシリアスな言葉が胸を撃つとのこと。
へー。やっぱ自分が他人と違ったりスペシャルだったりすることを悩む登場人物の方が魅力的だよね。そういや『Vガンダム』でウッソをスペシャルって呼ぶのは凄いよなー。